寅 は 目標に邁進するも慎重さを要する年
干支、特に十二支の文字の其々は植物の生育課程に喩えられ、その観点から言うと①「寅」=「演」=「延」であるとされ、「引(ひく)」や「延(のびる)」と同意義。②更に虫偏を付けると「螾」となり、これは「動く」という意味となることから、土中の種子から芽が伸び、初春に発生する( 芽が地中から顔を出す )状態を表していると云われ、グングンと突き進む(邁進する)ことを意味しています。
しかしながら「寅」という文字を字典で引いてみると第一義的な意味は、「慎(つつしむ)」。これは「寅」という文字の会意が③「髕(しりぞ)ける」であり、 「宀」(=屋根)が有ることで突き抜けられず、地下に退けられるさまを象っているとされ、正月に陽気が動き始めて地下から地上に出ようとするものの、
依然 として陰気の方が強く抜け出せない、とあり、干支の意味するところである①と②とは全く反対の解釈が為されていることがお解りになると思います。 つまり一方的な解釈ではなく多面的に捉えなければいけないということです。
十二支の捉え方では、一昨年の「子年」は種 を蒔く (新規に物事を始める)年。昨年の「丑年」は種から根が生じる年を意味しますが、勿論そこには注意すべき点が有り本ブログでもその年々に述べた次第です。簡単にお浚いをしますと、先ず子年ですが種を蒔くとは言っても個人々々によって目標は異なることから、種を蒔く時期や場所を見極めることが必要。丑年にあっては目標を将来的に成就させる(大木に成長させる)ために根を広く深く張り巡らすことが肝心ではあるものの、必要以上の水や栄養は根腐れを起こす原因となり自身を滅ぼしかねないことから、急がずゆっくり基礎を固めると説きました。
このように見てゆきますと、寅年は地中の芽が伸びて最終的に地上から顔を覗かせるようになる訳ですが、一度地上へ出てしまうと違う場所から改めてということは適わず後戻りは出来ません。また出ようとしているところに巨岩などの障害物( 宀 )が有っては、突き出ることすら出来ませんし、出た先が巨木の蔭では日が当たらず今後の生長も望めません。この先は果たして安全なのかどうなのか、つまり自分が行っていることが間違っているのか適っているのか、進路は間違っていないか慎重に判断をしなければならない年と言えるでしょう。