「卯」は 門扉が開いた形を表す象形文字であることから、障害物を押し除ける、また新境地を開くといった意味に転じることが出来ると共に、音読みを「ボウ」と発音し、「冒」に通じ「冒(おおう)」という意味を持つことから、地中の芽が成長し、地面を押し除けて地上を蔽うようになった状態を表します。
これは種子から芽が出て根を伸ばし、土から顔を出す為に力を注いできたこと、つまり目標に向って努力してきたことが報われ始める年と言え、今までの土中という暗く閉ざされた所から地上という明るい新境地へと舞台が移るということは、謙虚に努力を重ねてきたことが愈々発揮され始めると言えるでしょう。
また、卯に木偏を付けますと「柳」という漢字となり、柳には「柳に雪折れなし」という格言がございます。これはしなやかな柳の枝は雪が降っても重みで折れることはなく、逆に堅い木の枝の方がその衝撃に耐えきれず折れてしまうことから、柔軟なものは一見弱々しく見えるものの、むしろ剛直なものよりもよく苦難に耐えることの喩えとして用いられます。
今年は努力を重ねてきたことが目に見え始める時期とは言いましたが樹木で例えるなら未だ未だ小さな幼木の段階であり、来年再来年と更に大きな木へと成長してゆく上で、夢や目標を絶対に実現するんだという強い信念は樹木の幹の如く強く太く育てたいものですが、合わせて大切なものが枝葉となります。先述のように堅い枝を育ててしまいますといざ逆境や困難といった重大な局面に遭遇した際に上手く機転を利かすことが出来ずに態度を硬化させてしまうと大切な枝を折ってしまい成長することが出来ませんので、柳のようにしなやかな枝を育てていただき何事も一辺倒ではなく状況に応じて臨機応変に対応することが求められる年と言えるでしょう。