酉 は 己を見失わない理性を要する年
「酉」の本来の読みは「ゆう」であり、口の細い酒つぼを描いたもので、
「酒」に関する字に用いられ、収穫した作物から酒を抽出する意味や、
「糸酉」(しゅう:「縮む」の意)で、果実が成熟の極限に達した状態また
収穫できる状態であることを表しています。
また、「酉」は「鶏」であるとされ暁を知らせる動物であります。
これは「酉」が真西の方角に配され、西の方角に星が輝く頃は東が白む、
これを「暁」と云い、「酉」に「星」と書いて「醒める」となることから、
人は鶏鳴によって暁を知り目醒めるのです。
種が芽を出し樹となり実を結び、その実が成熟の極限に達したということは、
努力してきたことが報われ、その先の二次的産物(更なる飛躍)が形となった
ことを意味しています。しかし、前述したように「酉」は「酒」そのものも意味し、
また酒から生じたものを意味する字の部首に用いられるということを忘れてはいけません。
社会に於いて酒席は社交の場として重要なこともありますが、千鳥(酉)足になる程
飲み過ぎて酩酊し、信頼を失い辛酸を舐めては折角の努力が水泡と帰してしまいます。
また酉(鳥)に因む故事に「足下から鳥が立つ」が有りますが、これは身近なところで
意外なことが突然起きること、また急に思い立って慌しく行動を起こすことを表し、
「青天の霹靂」や「藪から棒」と同義の言葉です。思わぬ事態が起きて動転せぬよう、
己を見失うことなく開眼(目を醒まし)し理性を保つことで成功が長続きすることでしょう。