丑 は 無理せず、ひたむきに自分に向き合う年
「丑」は糸偏を付けると「紐」となるため、「子年(種子)」から紐を出した状態、つまり「発根」した状態を表すことになります。土の中、また小さな変化であるために目立たず些細なことと思われがちではありますが、根の発生が無ければ今後の発芽も起きず、幹を大きく太く伸ばしたり、枝葉を増やしたり、果実を実らせたりといった成長が出来ないため、植物の生長に於いてもとても大切な時期と言えるでしょう。
このことは人間(人生)にも当てはまると思いますが、皆さんは「根っこの教育」をご存知でしょうか。
人間を植物に譬えたときに幼児期は根っこに相当し、 この時期に過度な水や肥料を与え続けてしまうと根腐れを起こしてしまい健全な成長は止まってしまうため、小まめな管理の下で適度な水と肥料を与えることが求められます。つまり幼少期には過度な詰め込み教育は必要なく、沢山体を動かして身体の基本を作り、読み聞かせや絵を沢山描くことで情操(想像力や感性)を育てることが大切であるというものです。成長の源である根っこがしっかりしていれば必ず成長し続けることが出来るのです。
昨年(子年)は適切な時期と場所を捉えて「種を蒔く年、新しいものごとを始める年」とお話をさせていただきました。皆様それぞれに夢や目標の種をお蒔きになられたことと存じますが、今年(丑年)は発根、そして栄養を吸収する年であり、今後どのように生長(成長)してゆくのかを左右し決定づける大切な時期と言えます。
物事を行うに当たって、“このようにすれば早く結果が出る”というような誘惑や甘言に出くわすことも有るでしょうが、何をするにしても“簡単に”や“直ぐに”なんて近道は有り得ず、ひたむきに正直に進んだ先に成長が有るのです。また分不相応な栄養は自身を壊しかねず、必要な時期に必要な分だけの栄養だけで事足りる訳ですから、自身の成長を阻む余計なものには目をくれず真に必要なものだけを得て、無理することなく自分と正面から正直に向き合い、成長の基本となるべき根幹を作ってゆくことが肝要です。